【支払時点では同じ扱いとなるはず】
例えば、1株当たりの時価が10万円の会社を考えてみます。この会社において9万円の給与を現金とストックオプションのいずれかで従業員に支払うとすると、
1)ストックオプションを発行する場合
9万円の相当のストックオプションですから、行使価格1万円で発行することになります。時価-権利行使価額=公正な評価額 ですから、10万円-1万円=9万円ということです。
条件の簡略化のため付与日=権利行使可能日とすると、9万円が費用として計上されますね(費用配分方法についても前回参照)。つまり、従業員への給与として9万円分の価値が消費された結果となります。
10万円の価値がある株式を1万円で購入できる権利を給与として渡したと考えると分かりやすいですね。
2)現金給与を支払う場合
では、9万円を現金で従業員に支払った場合はどうでしょう?もちろん、企業価値の消費は9万円です。
【支払以後においても同じ扱いとなるべき】
上記から、ストックオプションを発行した場合と、現金給与を支払った場合で、違いは生じないはずとの結論が出てきます。
ストックオプション会計基準の趣旨は"現金で給与を払った場合とストックオプションで払った場合とで同じ結果になるべき"という点にあるので、同じ結果となるのは当然といえば当然です。
であるならば、報酬を支払った時点以降においても違いが出てくるべきではないはずです。つまり、
現金給与で支払った場合は支払時点で企業価値の消費はFIX
↓
後で追加の費用計上をする必要はない
よって同じように、
ストックオプション発行の場合も支払時点で企業価値の消費は確定させるべき
↓
ならば、将来に時価が上昇しても、公正な評価額を見直して追加費用を計上するのはおかしい
ということです。
ストックオプションを発行した時点で、ストックオプションの価値増減と企業価値の増減とは分離されてしまうということですね。
このように考えると”見直し規定”がないのはやはり理論的に正しいと思い直しました(後で基準をきちんと読み込んでみたら明確に『見直さない』との記述がありました)。
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