2008年3月27日木曜日

決算を粉飾する②

 経営者に誠実な経営をする強い意志があれば、粉飾しようという動機も生じることはないでしょうし、仮に生じたとしても、それを思いとどまるはずです。 また、経営者に粉飾の動機が生じたとしても、その予測や選択が適正かどうかを第三者に監督されていれば、動機は容易に実現できないはずです。
 

 そこで
1)取締役がお互いに監督を行う取締役会により、

2)経営の監督を行う目付け役である監査役により、
3)監査の専門家である会計監査人により、

経営者の監督を行うような仕組みがルールとして決められています(経営の内部牽制)。 
 もし、経営者が不適切な予測や選択により粉飾を行おうとする場合、監査役や会計監査人は不適切であることを利害関係者に報告します。それにより、間接的に粉飾を抑制しようとしているわけです。

【経営環境の重要性】
 上記のような経営者の誠実性や経営の内部牽制を全てひっくるめて経営環境といいます。そしてこの経営環境が適正であれば、粉飾は事前に防止されるはずです。逆に考えると、粉飾の可能性は、経営環境が適正かどうかで判断できることもあるということです。例えば、

・頻繁に会計方針を変更する
・収益予想を頻繁に下方修正する
・ディスクロージャーが度々遅延する

ような場合は経営者の誠実性という経営環境が怪しいと疑うべきでしょうし、

・監査役や社外取締役に多額のストックオプションが付与されている
・一身上の都合で役員が短期間に頻繁に辞任している
・会計監査を担当する監査法人が期中に突然辞任している
・監査報告書に問題事項が指摘されている。

ような場合は、経営の内部牽制という経営環境が働いていない可能性があります。
決算書を分析する上で、経営環境の理解はとても重要です。

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