昨年度から役員報酬に関する税法のルールが非常に複雑になりました。 ちょっと判断を誤っただけで、役員報酬が税務上は認められなくなったりするくらい厳しくなってます。その影響か、決算期が終わり、株主総会で役員報酬の変更を行うクライアントからよくされる質問があります。
『定時株主総会で変更した役員報酬は、いつから支払って大丈夫なの?』
株主総会の翌月の役員報酬支給日から変更後の役員報酬を支払った方が安全だと思いますよと回答してます。
例えば、12月決算の会社で株主総会を2月15日に行っている会社の場合は、役員報酬の支払日毎月25日であるならば、3月25日から変更後の役員報酬を支払うということですね。
【役員報酬と会計期間の対応関係】
と考えるのには、もちろん自分なりの理由があります。というのは、役員報酬は取締役や監査役としての職務執行に対する報酬なのだから、働いた期間に対応する支払いをするべきだろうと考えるからです。
もう少し具体的に説明すると、例えば、株主総会が2月15日の会社で、役員報酬が当月末〆の当月25日払いのような場合、2月25日から変更後の報酬を支払ってしまうと、下記のような問題が生じますよね。
1)定時株主総会で前期の報告を終えた時点で、役員については実質的に、新たな職務執行責任が開始されている。 株主への報告を終えた時点でその会計期間の役員の責任が終了するからです。
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2)当然、新たな職務執行責任はどんなに早くみても、株主総会の翌日から開始されることになる。
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3)にもかかわらず、2月25日に変更後の役員報酬を支払うと、新たな職務執行責任を果たしていない期間(2月1日~2月末日)に対して、変更後の役員報酬が支払われたことになりマズイ。
そこで、上記のような場合は3月25日に変更後の役員報酬を支払うべきなのではないかと思うのです。そうすれば変更後の役員報酬は、3月1日から3月末日に対する職務執行に対する対価なので、上記のような問題が生じることはないですし。
【証拠書類の作成も必要】
もちろん、定時株主総会で、職務執行責任の開始日を3月1日から開始する旨を決定して、それを後日証明できるように議事録を作成しておくべきことは言うまでもありません。 株主の意思がそうであったことを示しておくことが肝要です。
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