2008年3月18日火曜日

税務戦略を福利厚生とする

 個人的に、節税とは税金対策をオーナー経営者自身や会社のためだけに行うことだと考えています。どうやったら、税金を減らして自分自身や会社にできるだけ多くのお金を残せるかを追及することですね。
 もちろん、合法の範囲内では問題のあるものではありませんが、自分たちの利益追求のみをしている、なんか後ろめたい、悪いものみたいな感覚がある。節税から連想されるがイメージが、なんとなく良くないのはそのようなところに原因があるのかもしれません。

 しかし税金対策を、経営者や会社だけでなく、従業員も含めたメリットの追求、さらにはそれを最終的に株主や社会に対して還元するために行うものと考えたらどうでしょうか。すると、何のために税金を減らすのか、減らした税金をどのように活用するのか、そうすることで皆をどうやってハッピーにするのかまで考えるはずです。ここまで考えたものが税務戦略だと思います。

【福利厚生にも現れる意識の違い】
 雇用対策として従業員に対する福利厚生を充実させている会社もたくさんありますが、そこにも税務戦略という意識があるかないかが現れているような気がします。
 よく知られている従業員の福利厚生として社宅と食事支給があります。会社によって、いろいろなやり方があると思いますが、例えば、A社とB社がそれぞれ下記のような方法を採用していたとします。

・社宅制度
A社=住宅手当として、給料に上乗せ支給
B社=会社が社宅借上げ、住宅手当相当額を給料天引き

・食事支給
A社=残業食事代を給料に上乗せ支給
B社=会社が食堂を用意して、現物支給、給料から天引き
 

 一見、両者に違いはないように思えるかもしれません、しかしながら、従業員の立場から考えると、実質所得には大きな差が生じてきます。 
 給与月額50万円、住宅手当10万円の従業員の場合、単純計算ですが、A社で働くのとB社で働くのでは、月額手取り2.7万円位も差(B社の方が多くもらえる)が生じます。もちろん、従業員の諸条件により差額は変動しますが、B社の方が手取りが多くなる事実は変わりません。
 

 確かに、住宅手当として支給しようが、借上げにしようが、基本的にそれによる会社のコスト(支払うべきお金)は同じですし、会社として支払う税金も同じです。
 しかし、従業員もハッピーになれる方法はないかまで考え、借上げや食堂を用意する手間とコストをかければ、従業員にとっては大きなメリットが生じます。税務戦略は立派な福利厚生になります。
 会社がどのような意識をもって税金対策をしているのか、比較してみるのも面白いかもしれませんね。

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